構造案2 TriRibによる軽量補強
重量増加をできるだけ抑えながらキャビネットを補強する方法として、軽量な内部補強構造を検討した。 着想の元となったのは、建築における鉄骨構造の補強方法である。 鉄骨構造では、斜材や三角形を利用して構造を安定させる方法が用いられている。この考え方をキャビネット内部の補強にも応用し、 少ない材料でパネルを効率よく補強できないかと考えた。 そこで、キャビネット内部の四隅へ三角形状のリブを配置する構造を「TriRib(トライリブ)」と名付けた。 TriRibは、三角形を意味する「Tri」と、補強材を意味する「Rib」を組み合わせたA-Field craft Lab.による造語である。 第一の目的は、軽量化と補強の両立である。 一方、この構造ではキャビネット内部の四隅に斜面が形成される。 補強材によって生まれるこの形状を構造部材としてだけでなく、内部で発生する音の反射を変化させる要素としても 利用できるのではないかと考えた。 この音響面での発想には、津軽三味線の胴内部に施される綾杉彫りのように、内部表面の形状を利用する構造からも着想を得ている。 TriRibと綾杉胴は構造も用途も異なるが、補強のために設けた内部形状を、音の反射を整えるためにも利用できれば面白い。 予備シミュレーション 実際の試作に先立ち、TriRibの有無によってキャビネット内部の波動にどのような違いが生じる可能性があるか、 簡易的なシミュレーションを行った。 リブのないモデルとTriRibを配置したモデルを比較すると、内部における波面の反射や干渉の様子に違いが現れることが確認できる。 このシミュレーションは、実際のキャビネットにおけるTriRibの音響効果を実証するものではなく、内部形状による反射の変化を 視覚的に確認するための予備検討としている。
今後は実際のキャビネットを製作し、重量、補強効果、パネル振動、内部反射、周波数特性、実際の出音などから効果を検証する。